生活習慣病と大動脈瘤 - 糖尿病(症状・診断・治療)

概要

統計・疫学
 生活習慣病の1つであり、毎年、患者数は増加の一途をたどっており、現在わが国の糖尿病患者および予備群は2,210万人以上にのぼると推定されています。
症状・進行
 初期の自覚症状はほとんど無く、進行に伴って「口渇」「多飲」「多尿」「頻尿」「全身倦怠感」「体重減少」などの症状が現れ、重症時には「昏睡」に陥ることもあります。
病型
 「1型糖尿病」「2型糖尿病」「その他の特定の機序、疾患による糖尿病」「妊娠糖尿病」などに分類されます。
診断
 尿検査、血糖値測定、75g経口ブドウ糖負荷試験などにより診断を行います。
治療
 代謝異常の正常化と合併症予防を主とする治療です。食事療法、運動療法、薬物療法、インスリン療法などがあります。
合併症
 高血糖が続くことにより様々な合併症を引き起こします。特に眼の網膜・腎臓・神経は障害を受けやすく、糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性神経障害は三大合併症と呼ばれています。その他、免疫力低下に起因する細菌感染(肺結核・肺炎・腎盂炎や歯周病など)もあります。

 また血管障害により動脈硬化を促進し、さらに心筋梗塞などの虚血性心疾患や脳梗塞など重症な合併症を引き起こします。

糖尿病の各病型に対する主な原因と治療

1型
 ウイルス感染や自己免疫異常による膵臓機能の低下が原因で、若年(15歳未満)でやせ型の人に発症が多く、全糖尿病患者の約1割です。治療はインスリン注射が必須となります。
2型
 遺伝的素因によるものに加え、過食、運動不足、ストレスなどが原因で、中年で肥満体質の人に発症が多く、全糖尿病患者の約9割を占めます。治療は食事療法、運動療法を主として、不十分例には薬物療法、インスリン療法が追加されます。
その他の特定の機序、疾患による糖尿病
 遺伝子異常が解明されたもの、他の疾患や状態に伴うもので、治療は基礎疾患と併せて行います。遺伝子異常の場合は完治が難しく遺伝子診断に基づいた治療になります。
妊娠糖尿病
 妊娠に際してみられる糖尿病状態(耐糖能異常)で、治療は食事療法を主とし、不十分例にはインスリン療法を行います。