観察研究(ステントグラフト追跡調査)計画書
本レジストリーのデータ利用に関しては、東京大学医学部倫理委員会で一括審査が行われ承認されております。承認番号は2019306NI です。
既出の論文(Hoshina K, et al. J Vasc Surg 2021)では下記のような記載がMethodにございますので、本データを利用した論文執筆においてご参考いただければ幸いです。
The experimental protocol and informed consent forms for all institutes were approved comprehensively by the institutional review board of The University of Tokyo Hospital (approval no. 2019268NI).
JACSMによる論文
解説:2016年から2019年までにNCDに登録されたEVARデータを用いて、嚢状瘤の破裂リスクを検証した研究であり、嚢状瘤に関する過去最大規模のコホート研究となりました。結果として、嚢状瘤は紡錘状瘤より小さい径で破裂しており、また、嚢状形態は特に40-54mmのAAAにおいて独立した破裂の危険因子でした。本研究では、嚢状瘤に対する手術閾値を紡錘状の閾値から1cm引いたものと提唱しています。
解説:2006年から2015年までに施行したEVARの遠隔期成績を75歳以下の患者17,099人について解析しました。解析においてはtype IIエンドリークを認めた4,957人と認めなかった12,142人について、二群間で比較し、さらに、プロペンシティスコア マッチングを行い、それぞれ4,957人でも同じ比較を行いました。結果、大動脈瘤の拡大、再治療、動脈瘤関連死亡、瘤破裂の発生率は、エンドリークを認めた場合に高く、マッチングした後の比較でも同様の結果であることが確認されています。また、治療後に大動脈瘤が拡大する原因として、高齢、女性、大動脈瘤のすぐ上の大動脈の直径が大きいこと、腎不全の合併が確認されました。現在、対処法として、予防的塞栓が既に試みられおり、今後はその効果を検証する必要があります。
解説:JACSMの設立の経緯やシステム、また初期成績について示したものです。本邦のデバイスラグを逆手にとったJACSMによる管理システムは、世界にインパクトを与えました。
解説:2006年から2015年までのNCD非登録データを使用した、腹部大動脈瘤に対するEVARの成績の解析です。脚のみの使用、破裂などを除いたもので、通常の待機EVARのアウトカムをみています。解剖学的因子が細かく規定されているのが特徴です。また瘤の5㎜以上の拡張をアウトカムの一つとしているのも、あまり例を見ない貴重な報告です。
解説:2008年から2015年までのNCD非登録データを使用した、胸部大動脈に対するTEVARの成績の解析です。胸部大動脈瘤14235例と、解離(A型990例、B型4259例)に分けたところが特徴です。胸部に関しては瘤と解離で大きく成績に違いがあり、また治療目的すらも瘤のexclusionとentry閉鎖のように異なります。よって、かなりトリッキーな印象のあるシナリオですが、胸椎レベルでステントグラフトのカバー長で解析するなど、他のlarge population studyではないような因子での解析が行われています。
解説:2017年の腹部大動脈ステントグラフトのAnnual reportです。
解説:2017年の胸部大動脈ステントグラフトのAnnual reportです。