実施基準作成の経緯

「大動脈瘤ステントグラフト実施基準」作成の経緯

 平成17年8月、日本血管外科学会は本邦における企業製造ステントグラフトの使用承認にあたり、本治療法を安全かつ有効に臨床導入するためには、実施施設および実施医に一定の基準を設ける必要があるとの認識にたち、理事長諮問機関として「ステントグラフト実施基準作成委員会(委員会と略す)」を設置した。

 平成17年12月2日開催の委員会において、実施施設基準、実施医基準および指導医基準の文案について協議するとともに、今後は広く関連領域(内科、外科、放射線科)諸団体の参加を得て、日本血管外科学会基準案を叩き台とし「関連学会・研究会合同基準」を策定すべきとの結論に至った。

 平成17年12月5日、日本血管外科学会は上記の委員会提案を受け、今後の合同基準の作成と管理運営については、各関連領域を包括した総合学会である日本脈管学会が行うのが妥当であると判断した。

 平成18年5月1日、厚生労働省医薬食品局審査管理課より、関連9学会(註1)に対して腹部大動脈瘤治療用ステントグラフトの有効性および安全性の確保に関して協力するよう依頼があった。

 平成18年5月31日、血管領域の総合学会である日本脈管学会の呼びかけにより、関連10学会(註2)より推薦された代表委員で構成した「ステントグラフト実施基準案検討委員会」が開催され、「腹部大動脈瘤ステントグラフト実施基準(案)」を作成した。

 平成18年7月11日、企業製造ステントグラフトが厚生労働省より使用承認され、平成19年1月に特定保険医療材料として認可された。これにともない、医療材料の価格算定に関する留意事項として、「当該材料を使用するに当たっては、関連学会により作成された当該材料の実施基準に準じること。」の一項が付記された。

 平成18年12月21日に前述の関連10学会(註2)合同の「腹部大動脈瘤ステントグラフト実施基準運用検討会議」が開催され、全10学会の理事会承認を得た「腹部大動脈瘤ステントグラフト実施基準」を制定するとともに、同実施基準の遵守に関わる諸事項について討議した。その結果、今後導入されるであろう胸部大動脈ステントグラフトの実施にも対応すべく、日本胸部外科学会を加えた関連11学会(註3)構成「日本ステントグラフト実施基準管理委員会」(以下、管理委員会という)を設立し、委員長に重松 宏教授(東京医科大学血管外科)を選任した。

 平成19年8月3日、厚生労働省医政局研究開発振興課医療機器・情報室および厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室より、当管理委員会を構成する関連11学会に対して、胸部大動脈瘤ステントグラフトの適正使用に係わる体制等の要件の策定について協力するよう依頼があった。これを受け、当管理委員会は胸部大動脈瘤ステントグラフトの実施体制の整備に着手し、平成19年11月8日開催の委員会において「胸部大動脈瘤ステントグラフト実施基準(案)」を作成した。

 平成19年12月20日、当管理委員会を構成する関連11学会の理事会承認を得て「胸部大動脈瘤ステントグラフト実施基準」が制定された。

 平成21年7月4日、日本心血管インターベンション学会と日本心血管カテーテル治療学会の統合により、当委員会の構成学会は10学会となった(註4)。

 平成22年3月1日、胸部ならびに腹部大動脈瘤ステントグラフト実施基準のうち、実施医基礎経験の一部が改訂された。

  • 註1:日本脈管学会、日本循環器学会、日本心血管カテーテル治療学会、日本IVR(インターベンショナルラジオロジー)学会、日本血管外科学会、日本心臓血管外科学会、日本血管内治療学会、日本心血管インターベンション学会、日本人工臓器学会(順不同)
  • 註2:日本脈管学会、日本循環器学会、日本心血管カテーテル治療学会、日本IVR(インターベンショナルラジオロジー)学会、日本血管外科学会、日本心臓血管外科学会、日本静脈学会、日本血管内治療学会、日本心血管インターベンション学会、日本人工臓器学会(順不同)
  • 註3:「日本ステントグラフト実施基準管理委員会」構成学会
    日本脈管学会、日本循環器学会、日本心血管カテーテル治療学会、日本IVR学会、日本血管外科学会、日本心臓血管外科学会、日本静脈学会、日本血管内治療学会、日本心血管インターベンション学会、日本人工臓器学会、日本胸部外科学会(順不同)
  • 註4:日本脈管学会、日本循環器学会、日本IVR学会、日本血管外科学会、日本心臓血管外科学会、日本静脈学会、日本血管内治療学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本人工臓器学会、日本胸部外科学会(順不同)