外科手術によって人工血管を大動脈に直接縫い付けるのとは違い、細い管(カテーテル)を通して運ばれたステントグラフトは、金属スプリングの拡張力と患者さん自身の血圧によって動脈の内側に張り付けられます。
動脈瘤の形やステントグラフトが固定されている位置などによっては不安定になることもありますが、ステントグラフト治療が予定通りに行われ、動脈瘤内への血液流入が十分に遮断されていれば、とくに運動制限をする必要はありません。高血圧や糖尿病のある方には、むしろ適度な運動をお薦めします。
ただし、比較的新しい治療法のため、長期間にわたる安定性については明らかでないこともありますので、年に1回程度の定期検査を受けて経過を確認することが望ましいとされています。
外科手術に使用される人工血管が開発されてから60年以上経過し、この間に様々な改良が加えられ、その長期耐久性は大きく向上しています。
現在、体内に埋め込まれる人工血管の殆どはポリエステル糸を編んだものか、あるいは四フッ化エチレン膜であり、これらの劣化によって起こる合併症は極めて少なくなっています。
ステントグラフトに用いられる人工血管も同様の素材で作られており、その耐久性は同等と考えられますが、ステント金属を覆うようにして作成されたステントグラフトでは、金属との接触面で人工血管が磨耗することも想定されますので、定期的な検査が必要です。